たとえば、たとえばの話だ。
人工知能が大量生産されて、
その中の何割かが怜悧狡猾な奴で、
やがて格差が生まれて、
感情に乏しい人工知能が
ホームから転落したり
線路の上で仁王立ちすることがあっても
自動運転の人工知能に指令を出してくれる
そこには情感だとか、義務感だとか
なにか胸をつき動かすものは何一つなくて、
時間だけが素知らぬふりで過ぎていく
いっぽうで、わたしたち人間は
相変わらず満員電車の中で
スマホをぴこぴこさせながら
ひしめきあっている
そんな狂気の成れの果てみたいな日常がやってきても、
ほかにすることがないから、
わたしはとりあえず窓の外を眺めて
ぼーっとするのだろうな